終活で生まれる価値観のズレ。夫婦間のトラブルを回避するには

世帯あたりの構成員数が検証している少子高齢化社会では、葬儀にはじまり死んだあとの手間や負担は僅かな親族の肩に降りかかってきます。ある日突然両親や配偶者などの身近な存在が死んでしまったときのことを想像すれば、事前に準備に向き合うことが残された親族への礼節と言うこともできます。

死にまつわる価値観が大きく変化するなかで、注目を集めているのが「終活」です。高齢になれば夫婦で共にいちどは検討する課題といえるでしょう。

終活の意義と向き合う目的

終活という言葉はここ数年で急速に注目を集めるようになったトピックです。耳慣れない言葉との印象をもつかもしれません。最初に終活の意義を確認しておくと、自分の死後に周囲の人間に迷惑をかけることがにように生前に準備をすませておくことです。これまで歩んできた人生を総括し、人生の最期を迎えるに当たって色々な準備に向き合う作業になります。具体的には「身辺整理をつける」「不要品を処分する」あるいは、自分の死後の財産関係の処理が円滑に進むように「口座を解約する」など広範な手続きを対象とします。

このように終活は、常に死を意識した後ろ向きなイメージは少なからず付き纏っています。ところが他方で終活に向き合うことで、自分を改めて見つめなおし、今をよりよく自分らしく生きることを意識するようになるなどポジティブな成果を得ることも可能です。人は誰でも今現在が若いといいます。終活もまた現在を賢く生きるための、一つの知恵といえるのかもしれません

残された家族への負担になりたくないという動機

残された家族への負担になりたくないという動機

終活にとりかかる動機の中で大きな比重を占めるのは「家族に迷惑をかけたくない」というものです。この考えには日本人独自の死生観を垣間見ることができますが、自分の死後家族の負担にならないようにするには、3つほどのフェーズに分けることができます。

まず身の回りの整理です。実際に家族をなくした経験のある方で、一番対処に困ると印象をもつのは遺品整理とされているほです。本人にとってはかけがえのないものでも、家族から見れば無用の長物にしか見えないこともあります。捨てるべきか否か、家族と言えども判断をつけるのは難しく、遺品整理専門業者に依頼する事例も増えているそう。生前にできる限りモノをへらす「断捨離」に取り掛かるのは効果的ですが、処分するのに踏ん切りが付かないときは、自分の死後の希望する処分方法などを文書などにしておくのも選択肢のひとつです。最近ではデジタル遺品、つまりPCや端末のデータの取り扱いも重要な課題と認識されています。

夫と妻、夫婦で見解が対立することも

身辺整理に引き続き、忘れてはならないのが財産関係の整理や相続の準備です。死後には色々な手続きが必要です。預金口座ひとつにしても死後直ちに預金封鎖されることになります。円滑に手続きを進めるために、金融資産をリストアップする、暗証番号やパスワードなども紙ベースで遺族の目に留まるようにしておくなどの対処が終活では求められます。

そして最後に葬儀や墓の準備という最終フェーズに移行するわけですが、ここまで進んでくると夫婦間でも夫と妻の間で認識に齟齬が生まれることがあります。終活を巡って夫と妻との間で、価値観の違いを背景に賛成と反対という間逆の見解を主張し葛藤を抱えることになる訳です。

ここで問題になるのは夫婦そろって終活に向き合うべきか、と言う問題。形を変えて言えば、そもそも終活は配偶者同士同じ見解をもち、共に向き合うことができない限り、それ以上進めるべきではないのか、この点をどのように考えるかの問題です。

終活は夫婦そろって取り組むのが当然なのか

高齢者の夫婦では、終活を巡っていずれかの段階で見解の違いが鮮明になることがあります。もちろん当初から夫と妻、夫婦間で終活をはじめるべきかが問題になることもあります。この問題をどのように考えるべきなのでしょうか。この問題については、夫婦で終活を巡って異なる考えをもつことがあっても、至極当然と考えるのが出発点になります。

そもそも事故や災害にども遭遇しなかぎり、夫婦といえども夫か妻がさきだつことになります。終活は自分の人生の最期のあり方に向き合い、最終的には健やかな気持ちで自分らしく余生を生きることにあります。仮に終活に積極的だったほうがあとに残されることもあるでしょう。そのようなシチュエーションでも終活をしたことは無駄にはなりません。配偶者の死を前にして、その出来事を胸に刻んで余生に真摯に剥きあることも可能になるからです。終活は死生観に繋がる難しい課題です。夫婦共に実践する必要はなく、必要と考えたときに自分なりのタイミングで向き合えばいいわけです。

まとめ

少子高齢化社会の到来で平均寿命がのびたこともあり、自分が死んだあとのことに思いをはせる人が増加しています。残された家族に迷惑を掛けたくないことを動機に、終活に高い関心が払われるようになりました。身辺整理から財産処分や墓や葬儀など、いくつかの段階があります。

高齢夫婦では終活を巡って、主張が対立し葛藤に直面することがあります。しかし終活は人生の終わりを準備し、余生を健やかで自分らしく生きるために向き合う営為です。夫と妻で意見が対立しても、自分ひとりで向き合うと言うのも終活のあり方のひとつです。

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